自転車保険に入りたいんですけど・・ 

 
お子さんが自転車を乗るようになったり、 
自転車通学、通勤となった際に 
自転車保険のご加入を希望される方は多いです。 

 
「自転車保険」という言葉が一般的になりつつありますが、 
そもそもどんな内容なのかご存じですか? 

 
義務化の背景と、その内容について 
詳しく整理してみましょう。 

 
実は新しく入る必要がないかもしれません。 

目次

自転車保険はなぜ必要なの?

2015年10月に、兵庫県で初めて自転車保険の加入が務づけられてから、
早8年。現在では32都道府県が加入を義務付けています。
義務化になった理由、義務化している都道府県、内容についてまとめました。

義務化の背景と必要性

通勤、通学時の自転車利用や、お子さんの自転車保有が増える中で、
自転車に関わる事故で、高額な損害賠償の請求事例が全国的に増加しています。

義務化となった理由は、
これらの事故による、損害賠償責任を負った場合の経済的負担の軽減と、被害者の保護を図るためです。

警視庁の報告によると
全国での自転車関与事故は減少傾向にあるものの、
都内での事故は2017年の11901件から、2022年には15276件と 増加、
交通事故件数全体の半数近くを占めています。


自動車事故であれば、自賠責保険で対人賠償が支払われますが、
自転車事故では、賠償金の請求があっても、加害者に支払い能力がなければ、
被害者は十分な補償を受けることができません。


死亡事故も増えており、
自動車事故だけでなく、自転車事故のリスクがより高くなってきたことにより
保険の必要性も高まってきたんですね。

実際にあった高額賠償事故例

では、具体的にどのような事故によって、
いくらくらいの賠償請求が考えられるでしょうか?

実際にあった事故と判決例です。

賠償額9,521万円

【神戸地裁 平成25年7月4日判決】
男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車走行中、歩道と車道の区別の無い道路において、歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い意識が戻らない状態となった。


賠償額9,266万円

【東京地裁 平成20年6月5日判決】
男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前から車道を斜め横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突、男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失)が残った。

出典:警視庁HP

自転車事故では、子どもでも加害者になる可能性があり、
状況によっては 、一億近い賠償額が、
突然課せられるということが起こりうるということです。

義務化されている都道府県

平成27年10月に全国で初めて兵庫県で自転車保険の加入が義務化され、
東京都でも令和2年4月から自転車利用中の事故により、
他人に怪我をさせてしまった場合などの損害を賠償できる
「自転車の利用によって生じた損害を賠償するための保険・共済」への加入が義務となりました。

令和5年4月現在、義務化されている都道府県は以下の通り。

▶義務化となっている都道府県

宮城県・秋田県・山形県・福島県・栃木県・群馬県・埼玉県
千葉県・東京都・神奈川県・山梨県・長野県・新潟県・石川県・福井県・
福井県・静岡県・岐阜県・愛知県・三重県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・広島県・香川県・愛媛県・福岡県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県


▶加入義務のある政令都市

岡山県岡山市


▶努力義務のある都道府県

北海道・青森県・岩手県・茨城県・富山県・和歌山県・鳥取県
徳島県・高知県・佐賀県



居住地域が対象外であっても、
実際に自転車を利用する地域が対象であれば、
義務化の対象となる場合がありますのでご注意下さい。

義務化されている内容

義務化となった条例の内容を整理してみましょう。

▶対象となる人は?
・自転車を利用する人、また未成年の場合は、監護している保護者
・事業活動において自転車を利用する事業者
・自転車の貸付を業とする者

▶義務化されている補償は?

「この条例において『自転車損害賠償責任保険等』とは、
自転車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における
損害賠償を保障することができる保険又は共済をいう。」



と定義されています。

つまり、義務化となっているのは身体的な損害を与えてしまった場合に発生する相手への賠償を賄う、賠償責任保険の加入ということですね。

自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例より引用)

そもそも自転車保険ってどんな内容?

では、「自転車保険」とは
一体どんな内容の保険なんでしょうか?

自転車保険の内容とは?

一般的な「自転車保険」の内容を見てみると、

自転車事故にあった際、相手に損害を与えた場合に請求される
損害賠償に備える、賠償責任保険と、
本人が死亡や怪我をした場合に支払われる、
傷害保険がセットになっていることが多いです。

賠償責任保険ってどんな保険?

ここでいう、「自転車賠償責任保険」とは、

自転車で歩行者とぶつかり怪我をさせた場合など、
自転車利用者が加害者側となり、
歩行者等の被害者に対する民事上の損害賠償責任を
負うこととなった場合に、
加害者が被害者に損害賠償を行なうための金銭負担を補償する保険や共済をいう。


となっています。

自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例条文解説より


保険会社によって名称は様々ですが、
個人については、

「個人賠償責任保険」
「日常生活賠償保険」

など、火災保険や自動車保険、クレジットカードに
特約として付保されている場合が多いです。

これらは、自転車事故だけでなく
日常生活で起こりうる賠償を補償してくれます。

契約者だけでなく、
多くの場合、同居の家族や生計を一にする別居の未婚の子、
つまり1人で仕送りを受けて生活する未婚のお子さんも対象となるので、

あえて「自転車保険」に入らなくとも、
すでにカバーされている可能性があります。

家族で重複加入のないよう、
加入中の保険をご確認ください。


傷害保険ってどんな保険?

次に、賠償責任保険とセットされている傷害保険

こちらは、自身がケガで死亡した場合や入通院した際に支払われる補償です。

死亡・後遺症〇〇万円、
入院〇〇〇円
通院〇〇〇円

など、予め設定した金額が支払われます。

補償範囲が日常生活全般、または
交通事故に関わる事故のみなど、限定されている場合もあります。

また、医療保険に入っていれば、
カバーされている場合もあります。
加入中の生命保険もご確認ください。

自転車保険って必要なの?

自転車保険の内容がわかったところで、
結局、必要なのでしょうか?

自転車保険に入っていないと罰則があるの?

義務化とはいっても、加入していなかった場合でも
罰則規定を定めている自治体は現在ないようです。

将来的にはわかりませんが、当面、まずは自転車損害賠償責任保険等への加入を意識づける事を重点としているようです。


罰則がないとはいえ、
実際に、賠償責任を負うような事故を起こしてしまったら
困るのは、ご自身やご家族ですよね。
自転車に乗る方にはやはり必要な保険だと強く感じます。

自転車保険に加入する際のチェックポイント

自転車保険の内容と義務化の補償内容がわかったところで、
いざ、自転車保険を加入する際、
確認しておきたい事項をまとめました。

義務化となった条例を満たす保険であれば、
賠償責任保険のみでよいことになります。

ただ、
実際事故にあった場合は、自身が負傷する可能性もあります。
どんな補償が必要かを考えた上で、
「自転車保険」なのか、
「賠償保険」のみでよいのか、
本当に必要な保険に入りたいですよね。


では
次のチェック項目を見てみましょう。

まず

1⃣すでに加入中の保険に自転車保険に該当する補償があるか?
☑火災保険、自動車保険、傷害保険に入っている

個人賠償責任特約がついているか確認!

ついていれば傷害保険のみ検討


☑クレジットカードを持っている

個人賠償責任特約がついているか確認!

ついていれば傷害保険のみ検討



☑自転車にTSマークがついている

補償期間、補償内容を確認!

点検基準日が1年以内なら期間はOK
内容はこちらから確認ください。
公益財団法人日本交通管理技術協会HPTSマーク

☑学校・大学でPTAの保険に加入している

補償内容を確認!

個人賠償、傷害の補償があればOK



上記で賠償、傷害の補償がカバーされていれば、
新たに自転車保険に入る必要はありません!


逆にどれも当てはまらない場合は
新しく加入をご検討ください。

セットになっている自転車保険なのか、
特約を追加するか、

どれに入ったらいいかわからない!
という方はご相談くださいね。


次に
2⃣補償範囲を確認!
被保険者の範囲
☑本人のみの保険
対象でない家族は加入が必要。

☑同居の親族、別居の未婚の子もOKの保険
重複していないか確認!

基本的に同居の家族や、別居の未婚の子までカバーしているものが多いです。
家族それぞれが入る必要がないのでチェックが必要です。

目的の範囲
☑業務中も補償がほしい
→個人賠償責任保険では、仕事中の事故は対象となりません。
特に個人事業主の方は、 業務中の賠償についてカバーできるものが必要。



最後に
3⃣限度額の確認
☑必要な補償金額は?
→1億・3億・無制限など、限度額が決まっている場合、選べる場合があります。
希望の金額になっているか確認。


人の命の金額は計り知れません。
弊社では無制限をおすすめしています。



**まとめ**

いかがでしたか?

義務化となっているのは
賠償責任保険の加入、

自転車保険の内容は、
賠償責任保険と傷害保険のセット、

ということがわかりました。

その上で、ご自身に本当に必要な補償を考えてみてください。


損害保険各種の特約や、
クレジットカードに付帯されている可能性もあるので
加入状況を確認してムダのない保険にご加入くださいね。

自分がどんな保険に加入しているか、
証券を見てもよくわからない!!

という方は、保険のプロにご相談ください。
オンラインでのご相談も可能です。


■監修■ 
ファイナンシャルプランナー
木崎 雄一郎
【保有資格】
・AFP(日本FP協会会員)
・2級ファイナンシャル・プランニング技能士
・日本損害保険協会損害保険トータルプランナー
・公的保険アドバイザー
・変額保険販売資格

東京都北区滝野川で
生命保険、損害保険などの各種保険の見直しやご相談、
保険による資産形成のご相談など保険に関するご相談を承っております。
オンラインでも面談可能です。
個別相談のご予約はこちら